「確定申告しようと思ったら『雑所得』と『事業所得』という言葉が出てきた。自分はどちらで申告すればいいの?」
こんにちは、モリです。
第24回の確定申告の手順の中で「副業の内容によって所得の種類が変わる」とお伝えしましたが、「結局自分はどっちなの?」という疑問が残った方も多いと思います。
今回はその疑問に正面から答えます。
税理士事務所で5年間、個人の確定申告を担当してきた私が、副業ママが自分の所得区分を正しく判定できるよう、わかりやすく解説します。
- どちらに当てはまるかの判定基準
- 雑所得と事業所得の違い
- 事業所得になるとどんなメリットがあるか
- 判定に迷ったときの対処法
1. そもそも「所得の種類」って何?
確定申告では、収入の種類によって10種類の所得区分が定められています。
副業ママに関係するのは主にこの3つです。
| 所得の種類 | 内容 | 副業での該当例 |
|---|---|---|
| 給与所得 | パート・会社員の給与 | パートの給与 |
| 事業所得 | 事業として継続的に行う仕事の収入 | 本格的なブログ・ライター・ハンドメイド販売 |
| 雑所得 | 上記のどれにも当てはまらない収入 | 副業規模が小さいブログ・アフィリエイトなど |
副業ママのブログ収入・アフィリエイト収入・ライター収入は、規模や継続性によって「事業所得」か「雑所得」のどちらかに分類されます。
モリ『所得の種類が違うだけでしょ?』と思うかもしれませんが、雑所得か事業所得かによって使える控除や節税の幅が大きく変わります。
自分の所得区分を正しく把握しておくことは、長く副業を続ける上でとても重要です。
2. 雑所得と事業所得、何が違うの?
まず両者の違いをシンプルに整理しておきましょう。
| 雑所得 | 事業所得 | |
|---|---|---|
| 規模感 | 小さい・副業的 | 継続的・本格的 |
| 青色申告特別控除 | ❌ 使えない | ✅ 最大65万円控除 |
| 赤字の繰り越し | ❌ できない | ✅ 3年間繰り越せる |
| 他の所得との損益通算 | ❌ できない | ✅ できる |
| 複式簿記での記帳(55万・65万控除の条件) | ❌ なし | ✅ あり(青色申告で高額控除を受ける場合) |
※白色申告・青色申告ともに、収入金額にかかわらず記帳・帳簿保存の義務があります。
上記は「複式簿記での記帳が必要かどうか」の違いです。
表の中にある「他の所得との損益通算ができる」というのは、副業ママにとって非常に大きなメリットです。
たとえばこんなケースです。
ブログを始めるためにパソコン(8万円)を買い、サーバー代・書籍代なども合わせて年間で副業が3万円の赤字になった。
この場合、事業所得であればパートの給与所得と赤字分を相殺(損益通算)できます。
その結果、パート先で源泉徴収されていた所得税が戻ってくる(還付される)可能性があります。
雑所得の場合、赤字になっても他の所得と相殺することはできません。
副業を始めたばかりで初期投資がかさむ時期こそ、事業所得として申告するメリットが大きくなります。
一番大きな違いは「青色申告特別控除(最大65万円)」が使えるかどうかです。
事業所得として青色申告をすると、所得から最大65万円を差し引いてから税金を計算できます。
これが雑所得との最大のメリットです。
青色申告については第6〜10回のシリーズで詳しく解説しています。
→【第7回:青色申告「65万円控除」の絶大な節税効果】※内部リンク
3. 自分はどちら?判定基準を確認しよう
では実際にどちらに当てはまるのかを確認しましょう。判定のポイントは主に3つです。
判定ポイント① 継続性・反復性があるか
- 毎月コンスタントに記事を更新して収益を得ている
- ライターとして複数のクライアントから継続的に仕事を受けている
- ハンドメイド販売を毎月継続して行っている
- 年に数回しか更新しないブログからたまに収益が入る
- 単発の仕事で一度だけ収入が入った
- 趣味の延長で不定期に販売している
判定ポイント② 収益を得る意図(営利性)があるか
副業として「収益を上げることを目的として継続的に活動しているか」が重要です。
「ブログを収益化しようと計画を立てて運営している」
「ライターとして仕事を取りに行っている」
という状態は、営利性があると判断されやすいです。
一方で「趣味でやっていたら少し収益が入った」という状態は雑所得と判断されやすいです。
判定ポイント③ 収入の規模
2022年、国税庁がこのルールを改正しました。
当初「副業収入300万円以下は一律雑所得」という案が出され大きな反響を呼びましたが、
最終的に「帳簿の有無」が判断の最大のポイントとなる形で落ち着きました。
現在のルールをシンプルにまとめるとこうなります。
| 副業収入(年間) | 帳簿の有無 | 原則的な扱い |
|---|---|---|
| 300万円以下 | 帳簿なし | 雑所得 |
| 300万円以下 | 帳簿あり+事業実態がある | 事業所得として認められる可能性あり |
| 300万円超 | — | 事業所得になりやすい |
つまり「収入が少なくても、帳簿をきちんとつけて営利性・継続性のある活動をしていれば事業所得として認められる」ということです。
逆に言えば、帳簿をつけていない限り、どれだけ本気で副業をしていても雑所得と判断されてしまう可能性があります。
※最新の運用状況は国税庁のウェブサイトや税務署でご確認ください。



『収入が少ないから雑所得でいいや』と決めつけるのは少しもったいないかもしれません。
きちんと帳簿をつけて継続的に活動していれば、収入が少なくても事業所得として認められる可能性があります。
会計ソフトで記帳する習慣をつけておくことが、ここでも重要になってきます。
4.【チェックリスト】自分の所得区分を判定しよう
以下のチェックリストで確認してみてください。
- 毎月継続的に副業の作業をしている
- 収益を上げることを目的として計画的に活動している
- 会計ソフトや帳簿で収支を記録している
- 副業に関する経費を把握・管理している
- 年間の副業収入が安定して発生している
- 副業収入が不定期・散発的に発生する
- 収益化よりも趣味・発信が目的になっている
- 帳簿をつけていない
- 年間の副業収入が極めて少ない(数万円程度)
判定の目安:
上の「事業所得」チェックが3つ以上当てはまれば、事業所得として申告することを検討する価値があります。
迷う場合は税務署や税理士に相談するのが確実です。
5. 副業ママが今から事業所得を目指すためにできること
「将来的に事業所得として申告したい」「青色申告の65万円控除を使いたい」という方が今からできることをまとめます。
① 会計ソフトで帳簿をつける習慣をつける
事業所得として認められるための最も重要な条件の一つが「帳簿の記録」です。freeeやマネーフォワードで日々の収支を記録しておくだけで、事業実態の証明になります。
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② 開業届を提出する
個人事業主として開業届を税務署に提出することで、事業所得として申告する意思表示になります。
開業届の提出は無料で、提出しても特別なデメリットはありません。
③ 青色申告承認申請書を提出する
青色申告の65万円控除を受けるには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
提出期限は原則としてその年の3月15日まで(新規開業の場合は開業から2ヶ月以内)です。
詳しい手続きは第10回で解説しています。
→【第10回:「青色申告承認申請書」の書き方と提出ルール】※内部リンク
④ 副業の収入・活動を記録しておく
「いつから・どのくらいの頻度で・どのように活動しているか」を記録しておくと、事業実態の証明になります。
ブログの更新履歴・クライアントとのやり取りのメール・活動記録などを保管しておきましょう。
6. 判定に迷ったときはどうする?
「自分は雑所得か事業所得かわからない」という場合の対処法は3つあります。
① 税務署の無料相談を利用する
確定申告シーズン(2〜3月)は税務署で無料の相談会が行われています。
自分の状況を説明して、どちらで申告すべきかを直接確認できます。
② 国税庁のウェブサイトで確認する
国税庁の「タックスアンサー」(https://www.nta.go.jp)には所得区分の判定に関する情報が掲載されています。
③ 税理士に相談する
副業収入が増えてきて「本格的に事業所得として申告したい」という場合は、税理士に相談するのが最も確実です。
まとめ|迷ったら「帳簿をつけること」から始めよう
今回の内容を3行で整理します。
- 雑所得と事業所得の最大の違いは「青色申告65万円控除」と「赤字の繰り越し」が使えるかどうか
- 事業所得かどうかの判定は「継続性・営利性・収入規模・帳簿の有無」で総合的に判断される
- 副業収入が300万円以下でも帳簿をきちんとつけて継続的な活動実態があれば事業所得として認められる可能性がある
「まだ収入が少ないから関係ない」と思わずに、今から会計ソフトで帳簿をつける習慣をつけておくことが将来の大きな節税につながります。



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