「副業収入が20万円以下なら確定申告しなくていいって聞いたけど、本当に大丈夫?」
こんにちは、モリです。
この「20万円以下なら申告不要」という情報、半分は正しくて半分は危険な思い込みです
税理士事務所で5年間、個人の確定申告を数えきれないほど担当してきた私が、毎年必ずお客様から受けるこの質問に正面から答えます。
結論から言うと、条件によっては20万円以下でも申告が必要になるケースが複数あります。
一方で、きちんと条件を満たしていれば申告不要になるケースもあります。
「知らなかった」では済まないのが税金の世界。
この記事で自分が申告必要かどうかを正確に判断できるようになりましょう。
- 「副業20万円以下なら申告不要」のルールの正確な意味
- 20万円以下でも申告が必要になる具体的なケース
- 申告不要になる条件を満たしているケース
- 申告不要でも住民税の申告が必要なケース
- 自分が申告必要かどうかを判定するチェックリスト
1.「副業20万円以下なら申告不要」の正確な意味
まずこのルールの正体を正確に理解しておきましょう。
このルールの正式な条件はこうです。
給与所得者(パート・会社員)が、給与以外の所得の合計が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要
ポイントは3つあります。
このルールは給与をもらっている人だけに適用されます。
フリーランスや個人事業主として給与収入がない方には適用されません。
「所得」とは、売上(収入)からかかった費用(経費)を引いた後の金額のことです。
たとえばこんなイメージです。
- ブログ:広告収入−サーバー代・PC代・書籍代など
- ハンドメイド販売:売上−材料費・送料・梱包代など
- ライター:報酬−通信費・書籍代・カフェ代など
「売上がいくらか」ではなく、「経費を引いた後にいくら残るか」が申告の判断基準になります。
経費の詳しい内容は第22回で解説していますので、合わせてご確認ください。
→【第22回:副業ママの経費になるもの・ならないもの全リスト】※内部リンク
このルールはあくまで所得税の確定申告が不要というだけです。
住民税の申告は別の話になります(後述)。
モリ税理士事務所でよく見てきたのが、『収入』と『所得』を混同しているケースです。
売上が20万円を超えていても経費を差し引けば20万円以下になることもあります。
第22回で解説した経費の知識が、ここで活きてきます!
2. 申告不要になる条件を満たしているケース
「自分は申告不要」と判断してOKなのは、以下のすべてを満たしている場合です。
| 条件内容 | |
|---|---|
| ① パートなどで給与をもらっている(給与所得者である) | |
| ② 副業の所得(収入−経費)が年間20万円以下 | |
| ③ 医療費控除・住宅ローン控除など、還付を受けるための申告をしない | |
| ④ 給与をもらっている勤務先が1か所だけ | |
| ⑤ ふるさと納税のワンストップ特例だけで完結している |
この5つをすべて満たしている方は、所得税の確定申告は不要です。
ただし「申告不要=何もしなくていい」ではありません。住民税の申告については後ほど解説します。
3. 20万円以下でも確定申告が必要なケース
ここが今回の記事の核心です。
以下のケースに当てはまる方は、副業所得が20万円以下でも確定申告が必要です。
ケース① 医療費控除・住宅ローン控除などの還付申告をしたい
副業所得が20万円以下でも、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)を受けるために確定申告をする場合は、副業所得も合わせて申告する必要があります。
「医療費控除だけ申告して、副業収入は申告しない」はできません。
確定申告書を提出する以上、すべての所得を記載する必要があります。



これは税理士事務所でも特に多かった見落としです。
『医療費が多かったから還付申告しよう』と思ったとき、副業収入も一緒に申告しなければならないことを知らなかった、というケースが毎年必ずありました。
ケース② 2か所以上からパート給与をもらっている
2か所以上から給与をもらっている場合、少し複雑になります。
年末調整をしてもらえるのはメインの勤務先1か所だけです。
そのため、サブの勤務先からの給与はそのまま「未調整の収入」として残ります。
申告が必要かどうかの判定はこうなります。
「サブの勤務先からの給与」+「ブログなどの副業所得(収入−経費)」の合計が20万円を超えたら確定申告が必要
例:Bカフェのパート給与12万円+ブログ所得10万円=合計22万円 → 申告が必要
「パートの掛け持ちだけで20万円を超えていなくても、副業所得を足したら超えていた」というケースが実務上非常に多いです。
必ず合算して確認しましょう。
ケース③ ふるさと納税のワンストップ特例を使っているが確定申告が必要になった
ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」は、確定申告をしない給与所得者が利用できる制度です。
確定申告をすることになった場合、ワンストップ特例は無効になります。
確定申告書でふるさと納税の寄附金控除を改めて申告する必要があります。
「ワンストップ特例を使ったから大丈夫」と思っていても、ケース①や②に該当して確定申告が必要になった場合は、ふるさと納税分も確定申告書に記載し直す必要があります。
ケース④ 青色申告の特典を受けたい
副業の規模や継続性によっては「雑所得」ではなく「事業所得」として扱われるケースがあります。
事業所得の場合、青色申告の特典(最大65万円控除など)を受けるためには確定申告が必要です。
所得が20万円以下でも、青色申告のメリットを活かすために申告する価値があります。
副業収入が少ないうちから青色申告の習慣をつけておくと、収入が増えてきたときに大きな節税効果を得られます。
ケース⑤ 副業の所得(収入−経費)が20万円を超えている
これは基本中の基本ですが、改めて確認しておきましょう。
所得(収入−経費)が20万円を超えた時点で確定申告が必要です。
注意が必要なのは「収入」ではなく「所得」であるという点です。
ブログの広告収入が30万円あっても、経費が15万円あれば所得は15万円。
逆に収入が21万円で経費がゼロなら所得は21万円となり申告が必要です。
第22回で解説した経費をしっかり計上することが、ここでも重要になってきます。
→【第22回:副業ママの経費になるもの・ならないもの全リスト】※内部リンク
4. 申告不要でも「住民税」の申告が必要なケース
ここも見落としがちな重要ポイントです。
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になる場合があります。
住民税には所得税のような「20万円以下なら申告不要」というルールがありません。
原則としてすべての所得を市区町村に申告する必要があります。
ただし確定申告をした場合は、その情報が自動的に市区町村に共有されるため、住民税の申告を別途行う必要はありません。
住民税の申告が必要になるのはこのケースです。
- 所得税の確定申告をしない(20万円以下ルールを使う)
- かつ副業収入がある
この場合、お住まいの市区町村の役所に「住民税の申告書」を提出する必要があります。
申告期限は翌年の3月15日頃が多いですが、自治体によって異なるため事前に確認しておきましょう。
ただし一点、安心していただけるケースもあります。
副業の経費が収入を上回り、所得が0円以下(赤字)の場合は、住民税の申告も不要になるケースがほとんどです。
「赤字なのに役所に行かなきゃいけないの?」という心配は不要です。
ただし住民税のルールは自治体によって細かい部分が異なります。
不安な方はお住まいの市区町村の役所に確認しておくと安心です。



『所得税の申告は不要だから何もしなくていい』と思っていると、住民税の無申告になってしまうことがあります。
副業収入がある方は、所得税の申告が不要な年でも住民税の申告だけは忘れずに行いましょう。
5.【チェックリスト】自分は申告が必要?
以下のチェックリストで確認してみてください。
- パートなどで給与をもらっている
- 副業の所得(収入−経費)が年間20万円以下
- 医療費控除・住宅ローン控除などの還付申告をしない
- 給与をもらっている勤務先が1か所だけ
- ふるさと納税はワンストップ特例だけで完結している
- 副業の所得(収入−経費)が年間20万円を超えている
- 医療費控除・住宅ローン控除など還付を受けるための申告をしたい
- 2か所以上からパート給与をもらっていて合計が20万円を超えている
- ワンストップ特例を使っているが確定申告が必要になった
- 青色申告の特典を受けたい
- 上記「申告不要」に当てはまるが副業収入がある
6. 申告が必要とわかったら、今すぐやること
確定申告が必要とわかった方は、以下の3つを今すぐ始めてください。
副業の収入と経費を一覧にまとめましょう。会計ソフトを使っていれば、この作業が大幅に短縮できます。
- 給与の源泉徴収票(パート先から発行)
- 副業収入の明細(振込履歴・支払調書など)
- 経費のレシート・領収書
- 医療費の領収書(医療費控除がある場合)
- ふるさと納税の寄附金受領証明書(該当する場合)
確定申告の期限は原則として翌年の2月16日〜3月15日です。
還付申告(税金が戻ってくるケース)は1月1日から申告できます。
期限を過ぎると延滞税・無申告加算税が発生するため、早めに準備を始めましょう。
まとめ|「20万円以下なら大丈夫」は条件付きで正しい
今回の内容を3行で整理します。
- 「副業20万円以下なら申告不要」は給与所得者限定・所得(収入−経費)が基準・所得税のみの話という3つの条件付き
- 医療費控除・2か所からの給与・ふるさと納税・青色申告などのケースでは20万円以下でも申告が必要
- 所得税の申告が不要でも住民税の申告は別途必要になる場合がある
チェックリストで自分の状況を確認して、申告が必要かどうかを正確に把握しておきましょう。
申告漏れは後から発覚すると延滞税や加算税が発生します。
早めの確認が一番の対策です!



次回は『副業ママの確定申告、何から始めればいい?』をお届けします。
今回申告が必要とわかった方向けに、実際の手順を一からわかりやすく解説しますね!
→【次の記事:副業ママの確定申告、何から始めればいい?】


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